静岡市内の川沿いに建つ二世帯住宅である。
親世帯と子世帯との様々な関係性をデザインすることを考えた。
・コト
二世帯住宅のばあい、さりげない関係を構築することを心がけるようにしている。なぜなら、身近な関係が一緒に住むことは思ったより難しいのだ。
そこで、道路側に親世帯を設け、子世帯は必ずその親世帯ゾーン、軒下を通っていくことで毎日さりげない接点が得られるようにした。
内部空間は、ドア一つで繋がるだけで、完全分離としている。将来、親世帯側を子が結婚して住んだり、賃貸することも想定している。
・モノ
親子といえども、「対等」な独立した存在であり、全体のカタチを表現するにあたり、対等な自立した家の複合体としての建築を意識していた。
ところが、床面積は人数も多い子世帯の方が大きくなるのは避けられない。つまり、建築のボリュームが大きくなる。
それでは対等な関係という表現にはならないと思え、どちらにも「同じ」ものを与えて組み立てたら平等ではないかと考えた。
そこで、同じ大きさである「二枚のプレート」というもので建築を構成してみた。親世帯は屋根(水平)としてプレートを用い、子世帯は壁(垂直)として用いて自律した形態をそれぞれ与えた。
・ロケ
ロケーションは、南側には川に隣接する敷地であり、遠くない向う岸には神社の緑が見えることから、可能な限りそちらに開けた空間とした。
子世帯の屋上には道路側からの視線を防ぎ、プライバシーを保ちながらくつろげる屋上庭園を設けることでアウトドアライフも可能とする立体的な住宅とした。