2018.5.03
奈良、古寺巡礼 -唐招提寺-
奈良で一二を争う建築、唐招提寺。
唐の高僧、鑑真和上が開いたことで有名なお寺です。
天平期の金堂(国宝)、平城宮の朝集殿だった講堂(国宝)、石造の戒壇、見るべきものの多い場所です。
2000年の平成の大修理によって10年観ることができず悔しい思いもしましたが、私は数年に一度は訪れています。
砂利道をまっすぐまっすぐに歩いて近づくと、段々とその大きさに気が付きます。
シンプルな全体と、門から真正面に佇む円柱の列柱が織りなす光と影の美しさは、薬師寺とはまた異なる音楽的なものを感じさせます。
独立の柱がすっくと立っている建築は日本では意外に少ないかもしれません。
建物の基壇上に立つ、このふくらみのある列柱の空間がギリシャの神殿建築を想起させます。
かつて、シルクロードによって大陸を渡ってきた影響があったかもしれないロマンを感じるのは私だけではないのでは、、、。
軒の出も大きく(およそ3.5m)、垂木と組物による素朴な力強い表現となっています。
かつては屋根を垂木で持ち出していましたが、近世の桔木屋根というテコの原理で支える方式に改修されています。
平成の大修理時の2005年、奈良県教育委員会の発表によれば、金堂の部材には西暦781年に伐採されたひのき材が使用されているとのこと。
つまり当初材(創建時の材料)がそのまま多く使われていることがわかっているのです。日本的な精神を感じます。
寄棟屋根の優美な雰囲気と威厳を併せもつ存在感が魅力です。
個人的には、歴史的な価値は東大寺よりもあるのではと思っているので、皆様にもお勧めしたい場所です。
奈良時代末期の乾漆盧舎那仏坐像(国宝)。東大寺と同じ仏様が安置されています。